14 資格王への道

日商簿記2級

資格の種類 民間資格(日本商工会議所)
最低限必要な費用 \4500(受験料)
勉強に要した費用(1回分) \6万5千(スクール17日【ほぼ全日】+テキスト2冊+問題集2冊+模試1回)
実際に要した費用(3回分) \15万
受験資格 特になし。(受験では写真付きの身分証明書が必要)
試験日 年3回(2月、6月、11月)※日商2級の場合
受験場所 甲南大学(※2008年11月の場合)
特色・長所 本社・工場を持つ中小企業のお金の流れが少し理解できる

概要

簿記3級では自営業の商業簿記について勉強しました。
一歩進んだ簿記2級では規模も中小企業級に大きくなり、
商業簿記だけでなく、工業簿記も範囲に含まれます。
簿記2級は簿記3級よりも4倍以上難しいと断言します。

取得の動機

私が勤めている会社が
「本社と工場が分かれている中小企業」にドンピシャリで当てはまります。
しかも、たまに手伝いで製造現場の資材使用量を計算したりしています。
工業簿記では製造現場のものの流れを把握して、
1つの製品を作るのに、どれだけの費用がかかったのかを厳密に計算します。
本当に簿記2級で求められている背景と能力にピッタリの職場なので、
取得を決意しました。
あと、会計事務所で勤務していた親戚や仕事でお世話になった会計士さんにも、
「簿記2級は取っておいて、ためになるよ〜。」と
おすすめされたのも大きな動機です。

受験条件

年齢、学歴に関係なく、誰でも受験できます。
男女とも同じぐらいの割合でしょうか。
年齢層は高校生〜大人まで結構幅広いです。

講座

1回目はLECのWeb講座を自宅で受講しました。
「自分のペースでいつでも勉強できますよ〜。」という誘いに乗ったんですが、
”自分のペース”が標準よりもダラダラしたペースだったので、
恐ろしいぐらいに勉強が遅れていきました。

2回目はLECの講座を生講義で受けました。
担当は税理士の女性の方で、Web講座とは違って、丁寧に教えていただきました。
全部で3ヶ月半かかるコースで、最後の1ヶ月は土日連続で受講して、
かなりの詰め込み教育でした。
基礎部分はしっかり理解できましたが、
問題を解くための応用力がつきませんでした。

3回目は基礎の部分は2回目の教材で復習し、
直前の模試、答案作成練習(答練)だけをLECで受講しました。
今度の担当は、熱血教官でビシビシ厳しいことを言う人でした。
こんな厳しく言われて、負けてたまるか!と闘志に火がつきました。

簿記の検定は6月初旬、11月中旬、2月下旬なので、
検定の間隔がバラバラなのです。(最短:3ヶ月、最長:5ヶ月)
無理なく週1回で勉強するためには4ヶ月必要なのですが、
試験の間隔と授業を担当する教員のスケジュールが合わないため、
勉強するのも難しいと言えます。

試験直前の勉強

1回目、2回目はほとんど自宅の机で問題を解きませんでした。
練習不足ではそう簡単には合格できません。

3回目は土曜日昼間にLECで解いた問題を、日曜日に復習。
平日、帰宅後も夜10時半から1時間、過去問を解きました。
平日でも週3日程度は勉強していました。
今までの資格とは比べ物にならないぐらい、机に向かいました。

試験の難易度

合格率は20〜40%です。実施回によってかなりのばらつきです。
受験者の7割は不合格ということで、厳しいテストです。
大問題が5問で、第1・2・3問が商業簿記、第4・5問が工業簿記です。
配点は各20点。合格ラインは70点以上。
大問をまるまる1つ落とすと、残り80点分で70点取らないと合格できないので、
一気にピンチです。

第1問:ややこしい仕訳

仕訳の問題が5問出てきます。
1問4点ですが、難易度はトップクラス。
しかも、3級とは違って、
過去や未来の取引を考えて解答しなければなりません。
(株式・社債等利息や評価益、売却益が出るような問題、減価償却の問題等)
さらに、随所に出てくる引っ掛けで、どんどん失点していきます。

実は、最後まで苦労したのがこの第1問。
LECの模試は簡単な問題が並んでいるんですが、
本番ではかなり高いレベルの問題が出てきます。
絶対に過去問を解いて、慣れておく必要があります。
たまに、2級を飛び越えたレベルの問題まで出てきてしまうので、
3問(12点)取れたら、ひと安心です。

第2問:手間暇かかる伝票

内容はそれほど難しくないんですが、
作業量がめちゃくちゃ多い問題が出てきます。
簿記2級はただでさえ時間に追われるのに、
この問題で本当に時間が足りなくなってしまいます。
できれば、後回しで解くほうが賢いです。

第3問:主役の精算表/本支店会計

これを解ければ簿記2級も完璧!という総まとめみたいな問題です。
かかる時間も難易度も中程度。
ぜひ満点を狙いたい部分なんですが、
答えを書く欄が多すぎるため、
内容が簡単でも難しく見えてしまうのが難点。

しかも出てくるパターンが2タイプあって、
精算表と本支店会計では全く違う内容です。
だいたい、交互に出題されていますが、
精算表の方がほんの少しだけ多く出てくるみたいです。
これも第2問同様、ひたすら電卓をたたくしかありません。

第4・5問:ホームランか三振の工業簿記

工業簿記ですが、出題分野が幅広いのに、出てくる論点は2つだけです。
相性のいい問題だと、5分で満点の20点が取れてしまいますが、
最悪の場合、40分かかっても0点になる可能性があります。
途中の1ヶ所が間違っていると、芋づる式に失点してしまいます。
相性の悪い問題が2連発続くと、もう不合格です。
浅く、広く勉強すると満点が取れないし、
満点を狙おうとすると、別の分野が出てきて0点…
という運まで影響するところです。

解く順番と心得

というわけで、非常に個性の強い問題ばっかりの簿記2級。
全部で2時間なので、「早く解ける問題を先にする。」のがお約束。
というわけで、工業簿記(第4・5問)→商業簿記(第1・2・3問)の順に解くと、
後半に余裕があって、よいと思われます。

また、心得としては、
「満点じゃなくても、部分点をかき集めよう。」と思うのが大切です。
あと、問われている部分の過去や未来の取引も下書き用紙に書いて、
全体の流れを理解するのが大切です。
特に、社債や保険料等、長期にわたる取引の場合は
より理解しやすくなります。

受験後の感想

甲南大学の教室は受験会場としては最高レベルです。
ただ、その最高レベルの部屋で受験しているせいで、
気の緩みがあったのも事実です。

1回目・2回目とも第1問で全滅してしまったので、
3回目は第1問をしっかり取ることを目標に勉強してきました。
工業簿記、簡単すぎて第4・5問合わせて30分で終了。
第1問は解いている段階で全滅はないぞ、と確信できました。
第2問は伝票、これも特に詰まらずにクリア。
第3問は本支店会計だったので、精算表よりは計算量が少なく、
順調に進みました。

結局、10分余りを残してひととおり終了。
見直ししたかったんですが、芋づる式問題のため、
どこから見直していいのかがわからず、
ひたすら最初から計算しなおしていました。

解答速報

解答速報は受験日の夕方にはインターネットでわかります。
また、簿記2級は受験者が多く、資格スクールの花形講座なので、
どのスクールでも当日に解答速報をしてくれます。
しかも、宣伝を込めて無料。
第2問で下書き用紙の書き写し間違い、第3問で未達事項の計算し忘れで、
それぞれ芋づる式に失点しましたが、
全体で70点は確保できました。

とにかく、山ほど字を書きますので、
桁間違い、書き写し間違いが多発してしまいます。
これで失点するのは本当にもったいないです。

資格取得後は?

民間資格ですが、抜群の知名度で、堂々と履歴書に書けます。
会計系の資格の玄関口という感じなので、
資格スクールではさらに簿記1級や税理士、公認会計士へ進むように、
ひたすら宣伝してきます。
実は、そういう高額な講座を取ってもらうことが、
資格スクールの本当の狙いのような気がします。
ただ、会計業でご飯を食べたいという強い気持ちがなければ
さらに上に進むのは無意味かもしれません。

ここまで来るのに2年かかりました。
普通の会社員としては十分な知識が身についたと思うので、
簿記の世界からは卒業しようと思います。

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