「釜匠」

深川セット(\1850)。 深川どんぶり。 深川めし。 デザートのフルーツ。 地下鉄清澄白河駅から徒歩5分。 東京に来るとお気に入りのパン屋、ピザ屋、すし屋、居酒屋など、
久しぶりに行きたい店が多すぎて、いつも決まったお店でご飯を食べてしまう。
東京名物の料理をあんまり食べていないが、
唯一興味があったのが「深川めし」であった。
あさりがいっぱいでダシがきいていておいしそうだったが、
36年の人生でまだ一度も東京で深川めしを食べたことがなかった。

7月の潮干狩りシーズンも終わりの頃、ついに深川めしを食べるチャンスが訪れた。
神保町で古い時刻表を必死の思いで買った後、
東京メトロ半蔵門線であっという間に清澄白河へ。
いちばん有名なのは清澄庭園だが、それを無視して、このお店に一直線。
夜6時前だったが、運よくテーブル1卓が空いていたので、すぐに着席できた。

ぶっかけスタイルのどんぶりと炊き込みスタイルの深川めしが両方食べられる、
深川セットを注文。デザートまでついてくる豪華版。
多かったら、炊き込みご飯をおにぎりにしてくれるそうだ。
ありがたいとは思ったが、1人前がまるまる来るとは思えなかったので、
残すことはないだろうと思っていた。

まずは大根サラダ到着。
ぽりぽり食べていると、炊き込みご飯がお茶碗山盛りで到着。
おっ、大サービスだなあと思っていると、
「どんぶりのほうが後に来ますけど、ダシを吸うので、
先にどんぶりから食べてくださいね。」と言われて、
おとなしく待っていた。
しばらくして、どんぶり到着。
うわぁ、あさりが山盛り。
本当に大げさな表現ではなく、ひとすくいであさりが3個は確実に入っている。
潮干狩りよりもたくさんあさりがすくえているのではないだろうか。
ご飯はやや硬めに底に沈めてあって、
ご飯をつぶした結果、熱々のダシがはね、半袖シャツにおおわれていない素肌を直撃。
ただ、熱さに耐えて、おとなしく食べていた。
あさりのダシとごはん、そして卵のコンビネーションが上品だった。
一番びっくりしたのが、これだけあさりを食べまくっているのに、砂がない。
よっぽど上手に砂抜きしているんだなあと感心した。
イメージ的に、深川めしは味噌汁のような味を想像していたのだが、
このお店のものは雑炊に近かった。
でも、あさりから出たダシのおかげで最高においしかった。

そして、炊き込みごはん。これがまたどんぶりとは違った感じでおいしかった。
どんぶりのダシで大満足してしまったため、
アドバイスの通り、炊き込みごはん半分はおにぎりにしてもらって持ち帰った。
最後のデザートはなぜか2つずつ出てきた。
すいかだけでもうれしいのに、グレープフルーツやメロンまで。
2人前と間違えたんではないだろうか、というぐらいの分量だった。

おしながきにあった「満腹間違いなし」という言葉に偽りはなかった。
この時期の深川めし、最強である。
東京で食べる世界の料理や日本各地の料理も悪くないが、
下町で深川めしを食べ、もんじゃ焼きでしめるのも乙なもんだなあと感じた。

(最終訪問日:2015年7月26日)


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